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2007年6月のコラム
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『Martini(マティーニ)』 [レシピ・作り方/味わい方/カクテルグラスの扱い方]
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Dry Martini(ドライ・マティーニ)<レシピ・作り方> |
<レシピ>
・ドライ・ジン 45ml
・ドライ・ヴェルモット 15ml
・オレンジ・ビター 2〜3滴
・オリーブ 1個
・レモン・ピール 1枚
<作り方>
ミキシング・グラスに大き目の砕氷を入れ、1〜3の材料を注ぎ、バー・スプーンで良くかき回します。カクテル・グラスにこの液体だけを注ぎ入れ、オリーブを飾り、レモン・ピールを振りかけて出来上がりです。 ヴェルモットは酸化し易い酒なので冷蔵庫で保存します。ジンを冷凍庫にいれておくとうんと低温になり、カクテルを作る時に氷が溶け難くなります。従って水っぽくならず、キリッとしたマティーニが出来上がるという訳です。
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“カクテルの王様” ドライ・マティーニ |
バー・スプーンでくるくるかき回す事をステアすると言います。手早く、しかも丁寧にステアするのが美味しく作るコツです。マティーニとドライ・マティーニの違いは、ジンとヴェルモットの比率です。ジンの割合が多くなる程味はドライになります。現在ではジン対ヴェルモットが3:1位の比率がドライ・マティーニの標準だと思います。うんとドライにと言われたら10:1位です。2:1の比率であったらもうドライ・マティーニでは無く、只マティーニと言うのがふさわしいでしょう。
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これとは別に、スウィート・マティーニなるカクテルが存在します。これはドライ・ヴェルモットの部分だけがスウィート・ヴェルモットに変わるのです。ドライ・マティーニに比べて少し甘口となり、茶色っぽい赤色のカクテルです。作り方はスタンダードなマティーニと全く同じです。
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<味わい方> |
「ドライ・マティーニを」と注文されたら、たいていのバーテンダーがいささか緊張します。そして全能力を籠めてマティーニを作ります。それがマティーニというカクテルなのです。(何故なのかはこれから徐々に説明をしましょう)ですから、お客樣方には心してマティーニを召し上がって戴きたいと思います。
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マティーニのグラスが差し出されたら。まずはそのたたずまいを眺め、姿を楽しんで下さい。手に取るのはそれからです。グラスを口元に近付け、その香りをみます。そしてマティーニを一口分どうぞ。ゆっくりと舌や口の中で味わった後に飲み込みます。その後は御自分のペースで、マティーニがぬるくなってしまわない間に飲み干して下さい。最初の一口で含む量はややたっぷり目です。余り少量だとそのマティーニの良さが訳り難いです。
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オリーブはなるべく前半に食べます。オリーブの味と香りがマティーニの味を一層引き立ててくれます。オリーブの種は紙ナプキンなどに包み、人目に付かぬようスマートに処理しましょう。ポケットに入れ、後で捨てるのは洒落ています。オリーブがお嫌いならオーダーの際にそう告げます。バーテンダーはオリーブ無しのマティーニをお作り致します。オリーブは食べ無いのだけれど、景色として入っていて欲しいとおっしゃる方があり、それはもっともだと思います。人差し指でオリーブのピンをちょっと押さえ、他の四本の指でグラスのステムを持って召し上がる。その辺をさり気無く、美しく出来るとかなりな通人に見えるでしょう。バーでの評価が高まること受け合いです。
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<マティーニとは> |
マティーニは今も昔もカクテルの王様です。王様ですが、レシピも作り方も到ってシンプル。誰にでも簡単に作る事の出来るカクテルです。ところが、このシンプルさこそが曲者なのです。作り手によって、これ程はっきりと美味しさと不味さが分かれるカクテルは珍しいです。私は多くのバーデンダーを育ててきました。しかし、美味しいマティーニ作りを教えるのは難しい。同じ材料を同じ分量と同じ手順で作っても、作り手によって味が全く違ってしまうのですから不思議です。良いマティーニ作りに必要なのは腕前だけでは無く、どうやら人間性でもあるらしいのが段々と解って来ました。良い人間性というのを教育するのは難しいです。私だって誰か上級の人に教えてほしいです。
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良く出来たマティーニは本当に美味しいです。だからカクテルの王様であるのでしょう。ほとんどジンとヴェルモットだけなのに、それが良く溶け合って別の美味しさに生まれ変わっているのです。まず良い香りが立ち昇ります。口に含むと強い酒なのにトロリとしてまろやか。ピリっとした厭な刺激はありません。喉を通って胃に届く頃は体が、脳が幸せすら感じるというものです。鼻の奥には暫く良い香りが漂います。こんなマティーニであったらガンガン飲み過ぎない限り、翌日の不快感はほとんどありません。とは言ってもマティーニは強いカクテルです。御自分のコンディションに合わせ、程よいペースで召し上がりますように。途中で水もどうぞ。
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飲み慣れるに従って御自分に合ったジンとヴェルモットの比率も訳ります。それはその日の気分や体調によっても変わるものです。それ等を含めてバーテンダーにオーダーをなさってください。一流の腕前とサーヴィス精神のあるバーテンダーならきちっとそれに答えてくれる筈です。良いバーには良いバーテンダーが居ます。あなたと相性の合う良いバーに巡り合えたとしたら、それはとても素晴らしい事です。その店をどうぞ大切になさって下さい。ずっとです。
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<カクテルグラスの扱い方> |
ステム(脚)付きのグラスは写真のようにお持ち下さい。小指は立てません。男性も女性もです。ほとんどのステム付きグラスはそのステムの中心部分に重心があって、そこを持つとバランスが良く、見た目にも美しいように出来ているのです。ワイン・グラスもシャンパン・グラスもだいたい同じです。特別なのはバルーン型のブランデー・グラスです。脚が短く、手の平で丸くふくらんだ部分を包み込むように持ちます。体温でブランデーを温め、良い香りを立たせ乍ら飲むのです。タンブラーやロック用のグラスは底に近い部分を、5本の指と手の平を使ってしっかりと持ちます。沢山の液体と氷が入って重いですから。グラスの上の部分を持つとバランスが悪い上に、とても飲み難いです。そしてグラスがスベって落とし易くもあります。正しく美しいナイフ・フォークの扱い方があって、箸の持ち方があるように、グラスの持ち方にもどうぞ御注意を。良いマナーで自然に振る舞える方に人気は集まります。
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乾杯の場合はグラスの口を目の位置よりも少し下迄持ち上げ、相手の目を見つめて微笑みます。グラス同士をカチンとは当てません。カチンと当てると中身の液体が飛び出してしまったりするのです。特別に親密な或いはそう希望する相手とはそっとグラス同士を触れ合わせます。そして何秒間かじっと見つめ合います。
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